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Booking.com Award 2021 受賞

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booking.com award

2020年は、コロナウィルスの影響もあり、どのエリアも稼働率が大きく減少。特にインバウンドを中心に集客をしていた施設は大きく数値を落としました。一方で、楽天トラベルやじゃらん等、国内OTAや国内とインバウンドともに効果のあるBooking.comで実績を積んでいた施設は一定の稼働を得ることができた。

食事を提供しない素泊まりタイプのゲストハウスも国内のお客様が中心となるとアメニティも考え直す必要がある。数多く問合せがあった内容としては、浴衣の提供。タオルやバスルームのアメニティを提供していない施設はほとんどないが、浴衣を提供していないゲストハウスは数多くある。レンタルのコストも安くなく、自社で管理するのも容易ではない為、宿泊単価がある程度確保できる施設なら導入するのも良いでしょう。

もう1つ、インバウンドと国内のお客様の大きな違いは電話。国内のお客様はかなり高い確率で電話を利用する。その為、電話のサポートが限定的だと顧客満足度(レビュー)にネガティブな影響が出てしまう。すぐ繋がらない、或いは、コールバックが遅いとスタッフに対してかなり低いレビューを残す傾向にある。泊数も短い為、挽回するのも難しい。

その他、駐車場の位置や料金など、よくある質問は事前にわかりやすいQ&Aを作っておき、インフォメーションとして提供すると喜ばれる上に問合せの数も減らすことができる。

いろいろと試行錯誤してきたが、今回のBooking.comのAwardは、全施設で9.4が最も高いスコアでした。目標としていた9.5以上に届かなかった為、次回こそは目標達成!

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    政治

    日中関係は、高市早苗首相による台湾有事に関する国会答弁をきっかけに、急速に緊迫感を増しています。中国政府はこれに強く反発し、自国民に対して日本への渡航を控えるよう呼びかける異例の事態となりました。この渡航自粛要請は、日本のインバウンド市場と中国関連銘柄に深刻な影響を及ぼしています。

    政府の訪日外国人統計によると[※引用1] 、2025年1月から9月までの中国からの訪日客数は前年比42.7%増の748万7200人となり、国・地域別でトップを占めていました。インバウンド市場全体の伸びを牽引していただけに、中国政府による自粛要請は日本の観光関連企業にとって大きな逆風となっています。

    株式市場に広がる売り圧力

    日中関係の悪化懸念は、関連銘柄の株価に即座に反映されました。インバウンド期待で買われていた内需銘柄だけでなく、売り圧力は中国関連株全般に広がっています。

    11月17日のインバウンド関連銘柄では、三越伊勢丹ホールディングスや高島屋などの百貨店株が5~11%超下落しました。また、ANAホールディングスなどの空運株、西武ホールディングスなどの鉄道株も大きく売り込まれています。

    中国での売上比率が高い企業も打撃を受けています。良品計画は10%超安となり、ファーストリテイリング、資生堂、ユニ・チャームも3~9%超安となりました。中国国内への出店を積極化している外食産業では、回転すしチェーン「スシロー」を展開するFOOD & LIFE COMPANIESが14%安、サイゼリヤも6%超安に沈みました。

    さらに、知的財産関連にも影響が及んでいます。サンリオのハローキティやソニーグループのアニメ「鬼滅の刃」は中国で高い人気を誇りますが、今後上映の打ち切りなどのダメージを受ける懸念が指摘されています。

    松井証券は、日中双方の主張がかみ合っておらず、関係悪化の長期化懸念から、売りがインバウンドから中国関連銘柄全般に広がっていると分析しています。

    現場の実態とキャンセル料の問題

    渡航自粛要請が発令された時点では、極端に中国の団体旅行客にフォーカスした宿でない限り、秋の集客に直ちに大きな影響は出ていない状況です。紅葉のピークまで1ヵ月を切ったタイミングで問題が起きたため、予約サイトによってはキャンセル料が発生してしまうことが要因として挙げられます。日中関係の悪化に伴って訪日意欲自体には一時的なブレーキがかかったにもかかわらず、既に予約済みの旅行をキャンセルする中国人が比較的少なかった背景にはいくつかの理由があります。まず、中国の旅行者には金銭的ロスを極力避ける傾向が非常に強く、無駄な支出やキャンセル料を嫌い、一度支払ったものを「捨てる」ことに抵抗があるという価値観が根付いています。また、日本旅行そのものが依然として高い価値を持つ消費であり、政治的な関係悪化があっても個人の日本観まで悪化するケースは少ないため、旅行の魅力が損なわれていないことも大きな要因です。さらに、中国国内では政府の意向もあって極端な反日感情が広がるような報道は抑制されており、航空便の運行やビザ条件に変化もなく、SNSでも日本旅行の話題が通常通り扱われているため、旅行を中止すべきという認識が広まっていません。そして決定的なのは、中国人旅行者がきわめて合理的な判断をする傾向が強い点で、実害がなければ予定通り行き、返金不可なら行き、周囲に危険情報がなければ行く、という行動様式が働いていることです。こうした複合的な理由により、関係悪化による心理的なブレーキがかかったとしても、実際に予約済み旅行をキャンセルするという行動にはつながりにくかったのだと考えています。

    一方で、現在の状況が完全に収束するまでは、一定の影響が続くことも確かです。特に中国の旅行者はリスクに対して非常に敏感であり、状況次第では判断を大きく変える傾向があります。たとえば、中国の航空会社のように無料でキャンセルできる条件であれば、情勢が不安定なときには迷わず取り消しを選ぶ可能性があります。しかし、日本の航空会社のチケットや宿泊施設のようにキャンセル料が発生する場合は、損失を避けるために旅行を強行するケースもありますが、今後の情勢によっては「キャンセル料を払ってでも取りやめる」という判断に切り替わるリスクもあります。つまり、金銭的ロスを嫌う一方で、不確実性に対しては強い警戒心をもつという旅行者心理が、今後の動向に影響を与え続けると考えています。

    東京や京都の観光地では、要請を知りながらも来日した中国人カップルが「治安が良いので特に気にしなかった」と話すなど、政治と観光を分けて考える観光客も存在します。築地場外市場の飲食店経営者も、中国人が減ったという感じはないと述べています。

    しかし、問題が長期化すれば深刻な影響は免れません。特に、来年2月中旬に始まる春節への不安が観光地では広く聞かれます。年末のツアー予約は通常であれば全て埋まる時期ですが、要請を受けてすでに12月からのキャンセル連絡が殺到している実態があります。

    関西地方が直面する深刻なダメージ

    インバウンドの回復が期待されていた関西地方は、特に深刻な影響が懸念されています。りそな総合研究所によると、関西でのインバウンド消費のうち、中国人が占める割合は35%前後と非常に高い水準にあります。今年のインバウンド消費は約2兆円と推計されており、そのうち大きな部分を中国人観光客が占めています。

    大阪では、2025年1月から9月までの推計で、中国から約426万人の観光客を受け入れており[引用2]、これは2024年の同じ時期と比べ1.5倍に上る見込みでした。大阪・関西万博が閉幕し、需要減が懸念されるタイミングでこの問題が長期化すれば、他地域以上に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

    大阪市内の旅行代理店では、17日以降、ツア ーの予約取消し連絡が殺到し[※引用3]、わずか3日間で400団体、予約の半分ほどがキャンセルになりました。今回特有の問題として、キャンセル料の負担が旅行会社にのしかかっています。理由が政府による渡航自粛要請であるため、顧客からキャンセル料をもらうことが難しく、バスやホテル、レストランへのキャンセル料金を旅行代理店が支払わなければならない状況にあります。また、中国の大手航空会社3社が年内の日本便のキャンセルを無料にしていることも、大量キャンセルの要因の一つとなっています。

    インバウンドで急増した民泊への影響も深刻です。大阪市の繁華街・難波で民泊を経営する中国人経営者は、17日朝から「渡航を控えるよう国から指示があった」という内容のキャンセルを既に2件受けました。また、大阪・西成区の民泊経営者は、利用客の約6割が中国人であり、先週から約500部屋のキャンセルが発生し、収益 約1,000万円の減少につながると試算しています[引用4]。

    大阪の飲食店経営者にとっても、2月は閑散期にあたり、春節の訪日客の存在は貴重であるため、「政治的な感情は抜きにして、消費が冷え込む阻害要因は困るというのが本音だ」と危機感を募らせています。

    エンターテイメントと文化交流への波及

    影響は経済活動に留まりません。上海で予定されていた吉本興業による公演が中止になったほか、人気アニメ「クレヨンしんちゃん」の映画の公開延期も決定するなど、エンターテイメントの分野にも影響が出ています。

    また、相模原市と江蘇省無錫市の友好都市締結40周年行事では、無錫市の学校の生徒がダンスを披露する予定でしたが、訪日が取りやめになったという事態も発生しました。

    マクロ経済への影響と地域差

    ソニーフィナンシャルグループは、最近のインバウンド消費動向として、「団体から個人、モノ消費からコト消費へのシフト、国別構成比の変化など、数年前のような中国人頼みの状況からは変わっている」と指摘しています。このため、中国人観光客の減少によるマクロ経済への影響は限定的となりそうとの見方も示されています。

    しかしながら、外国人観光客に依存し、かつ中国人比率の高いサービス業や地域によっては、影響に濃淡が出る点については留意すべきだと警告されています。特に関西地方のように中国人観光客の比率が高い地域では、深刻な影響が予想されます。

    日中関係悪化が長期化すれば、広範囲の産業、特に来たるべき春節期の集客に依存する観光・サービス業は、深刻な経営ダメージを受けることが予想されます。これは、個人客へのシフトや消費の変化が進んでいるとはいえ、地域経済の回復にとって大きな試練となるでしょう。


     [引用1]https://news.yahoo.co.jp/articles/4e90e30991c886ba0e3b3cf70122fb265e78e2d3

     [引用2]https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E3%81%93%E3%82%93%E3%81%AA%E3%81%93%E3%81%A8%E5%88%9D%E3%82%81%E3%81%A6-%E6%B0%91%E6%B3%8A%E3%81%AB%E3%81%AF%E6%97%A2%E3%81%AB%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%AB%E3%82%82-%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%AE%E6%B8%A1%E8%88%AA%E8%87%AA%E7%B2%9B%E3%81%A7/ar-AA1QzDzh?cvid=691bcb85cf8d4f73b1e0f44afa90b32a&ocid=hpmsn

    [引用3]https://news.yahoo.co.jp/articles/2a59cffaab9b29f8ca153355a0a00125d0222028?page=2

    [引用4]https://news.yahoo.co.jp/articles/2a59cffaab9b29f8ca153355a0a00125d0222028?page=2

  • プラン提案
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    相続した家をどうするか――。売却して現金化するか、それとも賃貸に出して家賃収入を得るか。多くの方がこの二択で悩みます。しかし、実はもう一つの選択肢があります。それが「民泊」という新しい活用方法です。観光需要の高まりとともに、使われていない家が“人を迎える場所”へと生まれ変わる時代。思い出の詰まった家を手放さず、収益にもつなげられる民泊運営は、相続後の新しいライフプランとして注目されています。

    今回は、長期賃貸運用と民泊運用を税引後の実収益ベースで比較し、それぞれのメリット・デメリットをわかりやすく解説します。

    想定条件(モデルケース)

    項目内容
    物件木造一戸建て(延床100㎡・築25年)
    相続時評価額土地2,000万円+建物500万円
    立地京都市中心部に近い住宅地
    運営方式①長期賃貸(居住用) vs ②民泊(簡易宿所または届出住宅)
    青色申告あり(個人事業主として申告)

    年間収支比較(税引後シミュレーション)

    項目① 長期賃貸② 民泊運用(Airbnb型)
    稼働率100%65%(約240日稼働)
    賃料・単価月18万円平均2万円/泊
    年間売上216万円約480万円
    運営経費△40万円△180万円(清掃・光熱費など)
    管理費・手数料△10万円△30万円(OTA手数料含む)
    固定資産税・保険△20万円△20万円
    減価償却費△15万円△15万円
    営業利益(青色前)131万円235万円
    青色申告控除△65万円△65万円
    課税所得66万円170万円
    所得税+住民税(30%)△20万円△51万円
    税引後手取り利益約111万円/年約184万円/年

    民泊は税引後でも賃貸の約1.7倍の手取りが期待できます。
    (※モデルケースをベースにした一例)
    宿泊単価の通り、この事例は高単価で運用するタイプではありません。リフォームプランを組み込むことによって、より単価の高い民泊を作ることも可能です。上記モデルは低価格~中価格帯の間ほどのイメージです。立ち上げる民泊の質を高めることによって、一般的な家賃の相場の5倍以上というケースもあり、2倍、3倍程度は珍しいことではありません。


    メリット・デメリット比較

    観点長期賃貸民泊
    税制優遇青色控除・貸家評価あり経費範囲広いが消費税課税あり
    安定性高い(固定家賃)変動大(稼働・季節依存)
    管理負担低い(委託可)高い(清掃・顧客対応)
    法規制緩い民泊新法・旅館業法・消防対応必要
    相続税評価貸家評価で減額可旅館業用途は対象外のことも
    金融評価安定資産として強い事業リスク高く審査厳しめ

    今回の事例では、一戸建てを想定しています。月額18万円という設定からも、ある程度の広さがあり、交通の便も比較的良い立地を想定しています。法規制については、管理会社や行政書士などの専門家が対応するため、旅館業としての基本的な条件を満たしていれば大きな障壁にはならないでしょう。安定性の面では、災害や景気の影響を受けやすい民泊よりも賃貸の方が優位といえますが、家賃が固定されているとはいえ、空室リスクがまったくないわけではありません。


    税務上の違い

    税目長期賃貸民泊
    所得区分不動産所得事業所得または雑所得
    消費税非課税売上1,000万円超で課税事業者
    相続税評価貸家評価で減額減額対象外になる場合あり
    経費範囲修繕・保険など清掃・光熱・OTA手数料など広範

    総合評価

    タイプ向いている人
    🏡 長期賃貸型安定収入・手間をかけたくない人/相続税対策を重視する人
    🏨 民泊運用型観光地立地で稼働率が高い人/収益最大化を狙う人

    まとめ

    観点賃貸民泊
    税引後収益約111万円約184万円
    利回り(評価額2,500万円)約4.4%約7.4%
    運営負担
    リスク小~中中~大

    ・短期的な利益重視 → 民泊
    稼働率65〜70%以上を維持できれば、手取りは賃貸の1.5〜2倍。これはあくまでもサンプルモデルをベースにした一例です。一定の売り上げ規模になってくると消費税課税もあります。大きな災害等による影響は大きいが、その時は賃貸への転用も可能である。

    ・長期的な安定運用・節税重視 → 賃貸
    貸家評価による相続税圧縮や管理負担の少なさが魅力。将来の相続にも有利に働くケースが多い。民泊と比較するとリスクは少ない印象ではあるが、賃貸運営にも家賃滞納、入居者トラブル、原状回復などのトラブルはつきもの。

  • 日本家屋の空き家
    スタッフブログ

    ― 不動産価格高騰時代に考える、相続不動産の賢い活用法 ―

    近年の物価上昇や不動産価格の高騰により、「新たに物件を購入して民泊や簡易宿泊施設を開業したい」という相談は、ここ1〜2年でやや落ち着きを見せています。
    10年前、京都に民泊が少しずつ誕生し始めた頃と比べると、初期費用(物件取得・改装・備品購入など)は体感で数倍に膨らんでおり、「よし、民泊を始めてみよう」と思い立っても、5,000万円〜1億円規模の投資が必要になるケースも珍しくありません。

    確かに宿泊単価も上がっていますが、同時に物価や人件費も上昇しており、借入や返済を考えると心理的なハードルも高いのが現実です。

    その一方で、最近では「相続した物件」や「オーナーチェンジ物件」に関する相談が増加しています。
    中でも特に注目されているのが、相続した家をどう活用するかというテーマです。
    本記事では、「相続した家をすぐ売るべきか」「保有して運用すべきか」について、メリット・デメリットの両面から整理してみます。


    1. 相続した不動産をすぐに売却するメリット

    日本家屋の空き家
    日本家屋の空き家

    ① 相続税や維持コストの負担を早期に解消できる

    不動産を相続すると、相続税評価額に基づいて税金が課されます。
    相続税の納付期限(相続開始から10か月以内)までに現金化できれば、納税資金の確保が容易です。
    また、保有を続ければ固定資産税・都市計画税・火災保険・修繕費などの維持コストが毎年発生します。
    これらの負担を早期に回避できる点は、売却の大きなメリットといえます。


    ② 不動産価格下落リスクを回避できる

    地域や築年数によっては、今後の資産価値が下がる可能性もあります。
    特に人口減少地域や老朽化した建物では、早期売却が高値売却につながるケースも多いです。
    ただし、京都市中心部のような人気エリアでは、中期的には資産価値が安定または上昇する可能性が高く、一概に「すぐ売るのが得」とは言い切れません。


    ③ 相続人同士のトラブルを防止できる

    複数人で相続した場合、共有名義のまま不動産を保有すると、管理・修繕・売却の判断で意見が分かれることがあります。
    売却によって現金化すれば、分配が明確になりトラブル防止につながるという点も見逃せません。


    2. すぐ売却するデメリット

    ① 譲渡所得税の負担が発生する可能性

    相続した不動産を売却する場合、「被相続人の取得時期・取得費」を引き継ぎます。
    被相続人が取得してから5年未満の場合は**短期譲渡扱い(税率約39%)**となり、売却益が大きいほど税負担が重くなります。
    ただし、被相続人が長期保有していた場合は「長期譲渡」として軽減税率が適用されることもあるため、個別に確認が必要です。


    ② 居住用財産の特別控除が使えない場合がある

    「居住用財産の3,000万円特別控除」は、一定の条件を満たせば相続後の売却でも利用できます。
    しかし、長期間空き家のまま放置した場合や、構造・用途に変更があった場合は対象外となり、控除が使えず税負担が増えることもあります。


    ③ 将来的な資産価値上昇の機会を逃す

    再開発エリアや観光需要の高い地域では、今後地価上昇や賃貸需要の拡大が見込まれる場合があります。
    このような物件をすぐに売却してしまうと、将来得られるはずの賃料収入や値上がり益を逃すことになります。


    3. 相続した不動産を「運用」した場合の主な優遇と効果

    ① 固定資産税・都市計画税の軽減(住宅用地特例)

    相続後に不動産を賃貸住宅として運用する場合、土地の固定資産税が最大6分の1に軽減されます。

    • 小規模住宅用地(200㎡以下)→ 課税標準 × 1/6
    • 一般住宅用地(200㎡超)→ 課税標準 × 1/3

    空き家のままではこの特例を受けられませんが、賃貸に出せば軽減対象となります。


    ② 相続税評価額の圧縮効果(貸家評価)

    賃貸住宅として貸し出すと、土地と建物の評価額を引き下げることができます。

    • 建物部分:固定資産税評価額 × (1 − 賃貸割合 × 借家権割合[約30%])
    • 土地部分:自用地評価 × (1 − 借地権割合 × 借家権割合)

    たとえば、借地権割合60%、借家権割合30%の地域では、土地評価が約18%減・建物評価が約30%減になるケースもあります。
    これは相続税の節税効果が大きく、さらに継続的に賃貸していれば次の相続(2次相続)でも有利になります。


    ③ 経費計上・減価償却による所得税の節税

    賃貸経営では、建物部分の減価償却費修繕・リフォーム費用、仲介手数料、管理費などを経費として計上できます。
    青色申告を行えば、65万円の特別控除や赤字繰越も活用可能で、所得税・住民税の節税に大きく寄与します。


    4. どちらを選ぶべきか?

    相続した不動産をどう扱うかは、年齢・家族構成・ライフプラン・資金状況によって最適解が異なります。

    一般的には、

    • 相続人が比較的若く、長期的な資産運用を考えている
    • 立地や建物に一定の価値がある
    • 将来的に現金化のタイミングが未定

    といった条件であれば、すぐ売却するよりも賃貸運用を選ぶ方が、資産形成と節税の両面で有利です。


    おわりに

    不動産の売却は一度きりの選択ですが、運用には将来の柔軟性があります。
    相続した家を単なる負担ではなく、「資産」として活かすためには、まず売却・賃貸・民泊運用の3つを冷静に比較検討することをご提案しています。

    次回は、相続した家を「賃貸運用」する場合と「民泊(簡易宿泊)」として運営する場合の違いを、収益性やリスクの観点等から比較してみたいと思います。