FAQ
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民泊新法において民泊オーナーは住宅宿泊事業者と呼ばれます。住宅宿泊事業者にはさまざまな義務が課せられており、やるべき業務は多いです。本記事では住宅宿泊事業者の果たすべき義務や業務、罰則などについて詳しく紹介します。
目次
住宅宿泊事業者とは民泊の経営を行う事業者のことです。民泊新法の制度のもとで宿泊料をもらって住宅で宿泊サービスを提供する事業は住宅宿泊事業と呼ばれます。住宅宿泊事業は年間に180日を超えない範囲でのみ営業が可能です。住宅宿泊事業を実施できる住宅には、設備要件や居住要件が決められています。さらに、住宅宿泊事業者は責任を持って法律で定められた業務をこなさなければいけません。
住宅宿泊事業者が行わなければいけない主な業務について詳しく解説します。
住宅宿泊事業者は宿泊者の衛生を確保するために清掃や換気を行う必要があります。客室内にある設備や備品などは常に清潔に保たなければいけません。カビやダニなどの発生を避けるために除湿を行うことも重要です。民泊施設内には一箇所に不特定多数の宿泊者が集まる可能性があり、感染症などのリスクが高まります。衛生の確保には十分に注意を行い、万が一感染症が蔓延した場合は速やかに保健所に報告をして指示を仰がなければいけません。
住宅宿泊事業者には宿泊者の安全の確保を図る措置を講ずることが求められます。具体的には以下の事項を行わなければいけません。
民泊として届出をした住宅が一戸建てと集合住宅のどちらなのか、床面積がどの程度かによって、必要な安全措置の内容が異なるため注意しましょう。
住宅宿泊事業者には宿泊者名簿の作成が義務づけられています。本人確認を行った上で、宿泊者名簿に民泊の利用者の氏名と住所、職業、宿泊日を記載しなければいけません。宿泊者が外国人の場合は、国籍と旅券番号も記載します。
住宅宿泊事業者は周辺地域に配慮した民泊経営をすることが求められます。騒音やゴミの処理、火災などの防止を心がけなければいけません。宿泊者に対しては周辺地域に迷惑をかけないように宿泊時のルールについて説明する義務があります。また、万が一周辺住民から苦情を受けた場合には、住宅宿泊事業者が適切に対応しなければいけません。民泊は近隣住民の協力のもとに成立しているサービスのため、周辺地域と良好な関係を築く努力が求められます。
住宅宿泊事業者は2ヶ月毎に都道府県知事に対する定期報告を行う義務があります。定期報告の内容は以下の通りです。
定期報告については、電子システムを活用して行うことが可能です。
住宅宿泊事業者は、民泊施設について、見やすい場所に標識を掲げる必要があります。基本的には玄関に標識を提示するのが一般的です。標識は民泊のタイプごとに様式が定められており、民泊制度ポータルサイトでダウンロードできます。標識は風雨に耐えられるように工夫することが求められるため、ラミネート加工などを施しましょう。民泊施設を賃貸として貸し出している場合でも、民泊事業を続けている間は標識を外してはいけません。
民泊について自治体が独自の条例を制定して規制しているケースがあります。独自の条例によって、民泊オーナーがしなければいけない業務が増える場合があるため事前に確認しましょう。
住宅宿泊事業者は法律で課せられた義務を怠った場合には罰則を受けます。主な罰則の種類と対象者を以下にまとめました。
・虚偽の届出をした ・業務廃止命令に違反した |
6ヶ月の懲役または100万円以下の罰金、あるいはこれの併科 |
・住宅宿泊管理業者や住宅宿泊仲介業者への委託義務に違反した | 50万円以下の罰金 |
・変更の届出をしていない ・宿泊者名簿や標識の義務に違反した ・定期報告をしていない ・立入検査を拒んだ ・業務改善命令に違反した |
30万円以下の罰金 |
・事業廃止の届出をしていない | 20万円以下の過料 |
虚偽の届出をしている者や業務廃止命令に違反した者には懲役刑が課せられるため注意しましょう。民泊を経営したいならば、事前に民泊新法を確認して、どのような義務が課せられているのか詳細を理解することが大切です。
住宅宿泊事業者は民泊施設の管理業務を委託できます。管理業務の委託を請け負うのは住宅宿泊管理業者です。住宅宿泊事業者は届出をした民泊施設について、人が日常生活を営める空間としての環境を維持保全しなければいけません。しかし、規模が大きなケースや家主が不在になるケースがあると、維持保全が難しくなります。そのため、特定の条件では必ず住宅宿泊管理業者への委託が必要になるのです。住宅宿泊事業者は以下の要件を満たす場合には、必ず住宅宿泊管理業者へ委託しなければいけません。
民泊には家主居住型と家主不在型の2種類があり、家主不在型に該当する場合は、必ず住宅宿泊管理業者への委託が必要になります。
住宅宿泊管理業者は国土交通大臣からの登録を受けなければいけません。登録業者の情報については公開されているため、業者を選ぶ際の参考にしましょう。
住宅宿泊事業者は宿泊サービスの契約の締結について他人に代理や媒介を委託できます。ただし、仲介業務の委託先として認められるのは、事前に登録を受けた住宅宿泊仲介業者あるいは旅行業者のみです。無登録の業者に対して仲介業務を委託するのは違法行為になります。無登録の業者ではトラブルが起きた場合に十分なフォローができないリスクがあるため、仲介業務を認められるのは登録業者のみです。もし、登録業者以外の業者に仲介業務の委託をすると、50万円以下の罰金が課される可能性があるため注意しましょう。住宅宿泊仲介業者として登録されている事業者の情報は、民泊制度ポータルサイトで公開されています。これから仲介業務の委託を検討しているならば、必ずリストを確認して、登録されている業者に相談しましょう。
民泊オーナーとして中長期的に民泊の経営をしたいならば、近隣住民からの理解は特に重要になります。民泊の利用者がトラブルを起こしたために、近隣住民から苦情を受けるケースは少なくありません。トラブルが頻発すれば快適な宿泊ができず、口コミの評価も低くなります。衛生管理や災害への備えなども万全の状態を整えることは大切です。たとえば、消防用設備や防火管理の体制に問題があれば、消防署からの行政指導や行政処分の対象になります。本人確認を徹底して行うことも大事です。本人確認を怠ったことにより、民泊施設が犯罪者の潜伏場所や犯罪の現場として悪用されるリスクがあります。犯罪に巻き込まれてしまうと、民泊オーナーとしても社会的な責任を問われることになり、社会的な信用は大きく落ちるでしょう。基本的には法律で定められた事項を守り、合法的な経営を心がけることで、民泊経営におけるさまざまなリスクは回避できます。
民泊オーナーには法律によって多くの義務が課せられています。義務を怠ると罰金や懲役刑の対象になる可能性があるため注意しましょう。また、近隣住民とのトラブルを避けることや、利用者が快適に暮らせる環境を維持することも大事です。中長期的に民泊の経営を続けたいならば、民泊オーナーとしての社会的な責任を果たすことを意識しましょう。
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