実績・事例
実績・事例
京都市の東山エリアには多くの陶器屋さんが集まる場所があります。今でも窯を活用して創作活動をされており、見学や体験ができる場所もあります。そんな京都の文化が色濃く集まった場所に位置する京町家をリノベーションして宿泊施設にしました。町家特有の低い2階部分にある、しっくいで塗り固めた窓が特徴的な建物です。この窓を虫籠窓(むしこまど)と言います。通気性を高めたり、採光を広く取り入れる役割を果たしていて、見た目にも格子が作り出す独特の表情が素敵です。
かつて商業を営んでした、或いは、地主や名のある方が所有していた町家の中には100㎡を優に超える規模のものがあります。1日1組に貸し出す宿では法律等で100㎡以内という制限がある為、そのまま宿泊施設として転用するのは難しくなります。そのようなケースでは、スケール感を生かして、開放的な庭や露天風呂を設置したり、駐車スペースを確保することができます。これらの設備は申請を行う際の面積に含まれない為です。建物の持つ規模感を存分に発揮しながら、他施設との差別化も図れる為、非常に有効な手段となります。
京町家の宿を作るという計画が立ち上がると、和の雰囲気、町家のイメージをどれだけ魅力的に表現できるかという点に着目されがちです。もちろん、その着眼点について間違いがあるわけではありません。しかし、建物の間取りやコンディションによっては、いっそ世界中どの国の方が宿泊しても快適に過ごせるように外観や屋根は町家の構造を残して、内部は、西欧のホテルのようなデザインや構造に一新するのも有効的な手段の一つです。天井を高く取り、広いリビングスペース、冷暖房をしっかりと完備して、寝室には大きめのベッドを設置する。長期滞在するゲストは体験よりも滞在中の利便性にフォーカスを当てる傾向にあります。
京都市内には60㎡ほどの小ぶりな町家が数多くあります。4人家族で生活するには少し手狭で、賃貸に出しても借り手が見つかりにくいことから宿泊施設のように他の用途での活用を検討される方が多いようです。このような規模感であれば、無理に宿泊定員を増やそうとするのではなく、少人数で快適に過ごせるような間取りを取り入れるのも有効な手段の一つです。定員を減らすことで寝室の数が減るため、リビングやバスルームなど、狭くなりがちなスペースを広く開放的にすることによって魅力ある建物に生まれ変わらせることができます。
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