実績・事例
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京町家のリフォームを行う際に意見が分かれるのが、水回りのリフォームについてです。水回りは、言わば別の部屋とは完全に分けられた空間とも考えられる為、思い切ってモダンな内装や設備を取り入れる方も多いです。一方で、せっかく町家として建物を残すことを決めたので、全体の雰囲気と調和を図りたいと考える方もいます。今回は、後者のパターンを紹介したいと思います。
洗面台は陶器の素材を利用しています。これによってグッと和の雰囲気が出ます。また、壁には漆喰調のクロスを利用すれば、京町家の雰囲気としっかりと調和してくれます。トイレでも同様のクロスを利用できます。そして、木材で腰壁を造作しておけば、手入れもし易くて良いと思います。次のお風呂ですが、思い切って陶器のお風呂を導入される方もいますが、個人的にはシステムバスがオススメです。陶器のお風呂を導入することによって、他の建物としっかりと差別化を図ることができますが、始めこそ物珍しいものの、やはり不便さが勝ってしまいます。システムバスも木目調の柄を導入すれば、それなりに町家の雰囲気ともマッチしてくれます。
かつて商業を営んでした、或いは、地主や名のある方が所有していた町家の中には100㎡を優に超える規模のものがあります。1日1組に貸し出す宿では法律等で100㎡以内という制限がある為、そのまま宿泊施設として転用するのは難しくなります。そのようなケースでは、スケール感を生かして、開放的な庭や露天風呂を設置したり、駐車スペースを確保することができます。これらの設備は申請を行う際の面積に含まれない為です。建物の持つ規模感を存分に発揮しながら、他施設との差別化も図れる為、非常に有効な手段となります。
京町家の宿を作るという計画が立ち上がると、和の雰囲気、町家のイメージをどれだけ魅力的に表現できるかという点に着目されがちです。もちろん、その着眼点について間違いがあるわけではありません。しかし、建物の間取りやコンディションによっては、いっそ世界中どの国の方が宿泊しても快適に過ごせるように外観や屋根は町家の構造を残して、内部は、西欧のホテルのようなデザインや構造に一新するのも有効的な手段の一つです。天井を高く取り、広いリビングスペース、冷暖房をしっかりと完備して、寝室には大きめのベッドを設置する。長期滞在するゲストは体験よりも滞在中の利便性にフォーカスを当てる傾向にあります。
京都市内には60㎡ほどの小ぶりな町家が数多くあります。4人家族で生活するには少し手狭で、賃貸に出しても借り手が見つかりにくいことから宿泊施設のように他の用途での活用を検討される方が多いようです。このような規模感であれば、無理に宿泊定員を増やそうとするのではなく、少人数で快適に過ごせるような間取りを取り入れるのも有効な手段の一つです。定員を減らすことで寝室の数が減るため、リビングやバスルームなど、狭くなりがちなスペースを広く開放的にすることによって魅力ある建物に生まれ変わらせることができます。
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