実績・事例
実績・事例
築100年ほどの古い町家の改装を行いました。こちらの建物をゲストハウスとして利用する上で最も大きな課題になったのが水回りの工事でした。トイレ、キッチンに繋がる配管は古く、そして細くなっており、このままシステムキッチンやバスルームを新設することは難しい状況でした。リフォーム代を安価に抑える為に、配管工事を省略される方もいらっしゃいますが、古い配管に大きな負担を掛けてしまうと水漏れを生じさせてしまいます。水回りのリフォーム後に床下から異臭がしたら要注意です。リフォーム工事完了後に床下の工事をすることになるとせっかくキレイに工事した箇所を壊さなければならない上に、ゲストハウスの営業が開始済みの場合は、ゲストの予約をキャンセルしなければならないなど、想定以上の出費が待っています。
かつて商業を営んでした、或いは、地主や名のある方が所有していた町家の中には100㎡を優に超える規模のものがあります。1日1組に貸し出す宿では法律等で100㎡以内という制限がある為、そのまま宿泊施設として転用するのは難しくなります。そのようなケースでは、スケール感を生かして、開放的な庭や露天風呂を設置したり、駐車スペースを確保することができます。これらの設備は申請を行う際の面積に含まれない為です。建物の持つ規模感を存分に発揮しながら、他施設との差別化も図れる為、非常に有効な手段となります。
京町家の宿を作るという計画が立ち上がると、和の雰囲気、町家のイメージをどれだけ魅力的に表現できるかという点に着目されがちです。もちろん、その着眼点について間違いがあるわけではありません。しかし、建物の間取りやコンディションによっては、いっそ世界中どの国の方が宿泊しても快適に過ごせるように外観や屋根は町家の構造を残して、内部は、西欧のホテルのようなデザインや構造に一新するのも有効的な手段の一つです。天井を高く取り、広いリビングスペース、冷暖房をしっかりと完備して、寝室には大きめのベッドを設置する。長期滞在するゲストは体験よりも滞在中の利便性にフォーカスを当てる傾向にあります。
京都市内には60㎡ほどの小ぶりな町家が数多くあります。4人家族で生活するには少し手狭で、賃貸に出しても借り手が見つかりにくいことから宿泊施設のように他の用途での活用を検討される方が多いようです。このような規模感であれば、無理に宿泊定員を増やそうとするのではなく、少人数で快適に過ごせるような間取りを取り入れるのも有効な手段の一つです。定員を減らすことで寝室の数が減るため、リビングやバスルームなど、狭くなりがちなスペースを広く開放的にすることによって魅力ある建物に生まれ変わらせることができます。
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