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大阪・関西万博が創る新たな成長機会~「大阪銘柄」の躍進と関西観光の未来~

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2025年の大阪・関西万博は、開幕から約2カ月半で来場者数1000万人を突破し、日本経済、特に大阪圏の企業に千載一遇の成長機会をもたらしています。万博会場は日本企業が技術力や新規事業を国内外にアピールする絶好の舞台となり、建設業や物流業から外食産業、エンターテインメント分野、さらにはスタートアップ企業まで、幅広い業界に波及効果をもたらしています。

回転寿司業界の海外展開加速

万博会場では、日本の和食ブームを牽引する回転寿司チェーンが世界に向けて魅力を発信しています。
くら寿司(2695)は、田中邦彦社長が「世界に回転レーンのサービスを知ってもらいたい」と語るように、万博出店を海外展開の重要な足がかりと位置付けています。タッチパネル注文が普及する中でも、「プレゼントシステム」のようにレーンを使ったサプライズ演出など、回転レーンの可能性を追求し、万博店では世界の料理をサイドメニューに取り揃える試みも行っています。同社は海外事業で米国と台湾に注力し、特に米国では80店舗近くを展開して100店舗を目指しており、独自の「ビッくらポン!」などのアイデアは海外でも好評を得ています。
FOOD & LIFE COMPANIES(3563)「スシロー」は、万博会場の「スシロー未来型万博店」で提供する水産物を100%養殖にすることで、SDGsを意識した持続可能な経営をアピールしています。同社は中華圏と東南アジアを中心に海外展開を加速しており、2025年6月末には海外店舗数が212に達し、2026年9月末には310〜320店舗への拡大を目指しています。

先端技術が創る新たなビジネス機会

万博会場では、多様な分野で日本企業の技術力が披露され、新たなビジネス機会の創出に直結しています。
パナソニックホールディングス(6752)は、自社パビリオン「ノモの国」で「モノの裏側には人の心がある」というコンセプトのもと、回収したドラム式洗濯機のガラス蓋を再利用した床ブロックや、スピーカー27台による立体音響で没入感を演出しています。特に注目すべきは、バクテリアを使って光合成を促すことで植物の実を増やす、化学肥料を使わない農業技術を展示し、すでにサウジアラビアやUAEから商談が寄せられるなど、万博がビジネス機会創出に直結している点です。


出典: 2025大阪・関西万博 パナソニックグループパビリオン「ノモの国」紹介
椿本チエイン(6371)は、「大阪ヘルスケアパビリオン」で、同社が新規事業として開発に取り組む「電動アシストスーツ」を着想源とした「着るロボット」の展示を通じて、来場者がVR映像と共に身体能力を高める体験を提供しています。
カプコン(9697)は「モンスターハンター」の世界観をARや立体音響で体験できるシアター型施設を展開し、ゲーム未経験者にも認知度向上を図っています。同社は旧作活用戦略により、9期連続での最高益更新を見込んでいます。
岩谷産業(8088)は、万博会場とUSJ近くを結ぶ水素燃料電池船「まほろば」を運行し、水素を将来の収益の柱として世界にアピールしています。これは新たな交通手段の提案と同時に、環境技術の実証実験としても重要な意味を持っています。


出典:「まほろば」公式予約サイト

建設・物流業界への波及効果

万博会場を象徴する大屋根リングは、日本の伝統的な接合技術を用いたギネス世界記録認定の最大の木造建築物であり、大林組や竹中工務店などが建設に携わっています。鉄建(1815)は、スイス館やオーストリア館の建設を請け負い、万博を契機にパビリオン移設の新しいビジネス機会も得ようとしています。
物流を支える山九(9065)は夢洲に広大な物流用地を持ち、万博関連やIR建設の資材置き場として稼働率ほぼ100%を維持し、安定収益源として期待されています。浅沼組(1852)はオランダ館の建設で環境配慮型コンクリートを使用し、万博後もIR建設に参画するなど、大型プロジェクトの恩恵を受けています。

関西圏観光・宿泊産業への複合的影響

京都のオーバーツーリズムと日本人客離れ

万博が観光・宿泊産業に与える影響を理解するためには、まず関西圏の観光の現状を把握する必要があります。京都では外国人観光客が過去最高の1088万人(2024年)に達し、円安を追い風に宿泊客数も日本人を初めて上回るなど、インバウンド特需に沸いています。
しかし、深刻なオーバーツーリズム(観光公害)により、日本人が国内の有名観光地を敬遠する動きが顕著になっています。2024年秋には金閣寺や哲学の道など主要観光地で日本人客が減少しており、京都市内のホテルにおける日本人の宿泊者数も2023年4月以降一貫して前年同月を下回っています。
この日本人客離れの背景には、「混雑が嫌」という心理に加え、物価高騰や宿泊費の高騰、外国人客増加による予約の取りづらさといった複合的な要因があります。観光庁の統計でも、日本人延べ宿泊者数は11ヶ月連続で減少しており、宿泊料の伸びは物価全体の変動を大きく上回っています。

万博による観光分散と新たな機会創出

このような状況において、大阪・関西万博が観光・宿泊産業に与える影響は多面的です。
観光客の分散効果として、万博会場は広大で、来場者は1日では回りきれないほど多くのパビリオンがあります。万博が提供する多様な体験やエンターテインメントは、京都のような既存の観光地への一極集中を緩和し、観光客を大阪圏に誘引し、地域全体での観光客の分散を促す可能性があります。これにより、京都のオーバーツーリズム問題に対する間接的な解決策となることも期待されます。
周遊観光の促進という観点では、万博という国際的なイベントは、大阪のみならず、近隣の京都、奈良、神戸といった関西全体の認知度向上にも繋がり、広域での周遊観光を促進する契機となるでしょう。来場者が万博に合わせて関西に滞在することで、万博以外の地域の魅力を発見する機会が増える可能性も秘めています。
宿泊産業への恩恵については、万博期間中およびその後のIR開発は、大阪圏での宿泊需要を大幅に増加させます。これは、京都市内で日本人宿泊客が減少している状況とは対照的に、大阪では高い稼働率と客単価を維持する要因となり得ます。また、大阪周辺の宿泊施設にも恩恵が波及する可能性があります。

持続可能な成長モデルの構築に向けて

大阪・関西万博とそれに続く大型プロジェクトは、大阪を拠点とする企業群に新たな成長機会をもたらし、「大阪銘柄」としての価値を高めています。同時に、これは関西地域全体の観光・宿泊産業にも波及効果をもたらす可能性を秘めています。
京都で顕在化している「日本人客離れ」といった課題がある中で、万博が観光客の分散や新たな周遊ルートの創出に繋がり、関西全体の持続可能な観光モデル構築に貢献することが期待されます。各企業は、万博を新たな投資テーマを発掘し、収益貢献には時間がかかる内容であっても、未来社会の具体的な姿を来場者に体感させる場と位置付けているからです。
万博を契機とした新たな交通手段や観光ルートの開発は、これまでアクセスが難しかったエリアや、工場地帯のイメージが強かった夢洲周辺のイメージを変え、新たな観光地としての魅力を引き出すことに貢献しています。岩谷産業の水素燃料船「まほろば」は、その象徴的な例です。
日本が掲げる2030年訪日客6000万人目標達成に向け、万博は単なるイベントを超え、地域経済と観光の未来を拓く重要な試金石となるでしょう。企業の技術革新、観光産業の構造変化、そして地域経済の活性化が一体となって進むこの時代において、大阪・関西万博は新たな成長モデルの象徴として、その真価を発揮し続けています。

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    郊外 田舎

    京都の宿泊市場は、市街地の高収益エリアだけで語れない時代に入りました。郊外民泊は「不便さ」を弱点ではなく価値へ転換し、古民家再生や体験型観光を通じて独自の収益モデルを築きつつあります。過疎化対策や地域振興にも直結する新しいビジネスとして、いまその可能性が急速に広がっています。

    市街地と郊外でアクセスが収益に及ぼす影響

    京都市街地の中心部、特に中京区の四条・烏丸・河原町・御所周辺、下京区の京都駅・四条烏丸、東山区の祇園・清水といったエリアは、主要な交通拠点や観光資源が密集しています。そのため、国内外からの旅行者にとって利便性が極めて高く、高い稼働率と安定した収益が見込めます。

    一方、京都市の農山村地域に位置する農家民宿は、北区・左京区・右京区京北などに点在しており、その立地の特性上、市街地に比べて交通インフラや通信環境の面で不便さが伴うことが課題となります。

    しかし、新型コロナウイルス感染拡大下においては、この関係に変化が見られました。都市部の宿泊施設が三密を避けにくい状況にあったのに対し、郊外や農山漁村地域の古民家などを活用した一棟貸しの施設は、他者との接触機会を大幅に減らせるため、比較的安全な宿泊先として注目を集めたのです。Go To トラベル事業のような支援策が適用された際、比較的高額な宿泊料金となる一棟貸し施設に人気が集まった可能性も指摘されています。これは、郊外民泊が危機的な状況下で安全性を付加価値として収益に結びつけた例と言えます。

    宿泊需要のピークと閑散期で見えるエリア収益の違い

    収益構造は、エリアの主なターゲット層と需要の変動期によって大きく異なります。市街地中心部の宿泊施設は、インバウンドや個人観光客の年間を通じた安定的な需要に支えられていました。

    一方、郊外や農村地域の農泊施設で以前から中心的だった教育体験旅行型農泊は、春先の4月から5月に需要が集中する傾向があり、感染症拡大のような外的ショックに対してビジネスモデルとしての脆弱性が露呈しました。2020年の緊急事態宣言時には、教育体験旅行の集中期と重なったため、メインターゲットの変更が困難な地域では農泊がほぼ中止状態となりました。

    また、新型コロナ感染拡大のショックは、農泊の宿泊者数減少率が一般的な宿泊者数よりもやや大きく下押しする傾向が見られました。これは、農家民宿の多くが経営主の母屋に宿泊し交流をメインとするため三密を避けにくかった点や、宿泊客が感染者数の少ない農山漁村地域への感染拡大を懸念して訪問を自粛した意識が強く働いた可能性が考えられます。

    この課題に対し、郊外の農泊地域では、個人旅行客の取り込みやマイクロツーリズムへのシフトが見られ、長崎県西海市の事例のように、ワーケーションなどの新たな需要創出に取り組む動きも出ています。

    観光資源との距離がもたらす収益効率の差

    農家体験

    市街地の中京区や東山区などでは、歴史的建造物や商業施設が相互に連携し、高い収益効率を生み出しています。これに対し、郊外の農泊施設は、収益効率を最大化するために立地の不便さを補って余りある固有の地域資源を活用することが不可欠です。

    京都府の農家民宿エリア[引用1]である中丹地域の綾部市・福知山市・舞鶴市では、築100年の古民家などの伝統的な日本家屋の美しさと、オーナー家族との温かい交流が観光資源となっています。また、農業体験、そば打ち体験、薪割り体験、星空鑑賞など、その地域でしか得られない多様な体験コンテンツが提供されています。

    これらの体験は、都市住民が関心を持つ傾向にある農業体験や調理体験、工芸品作りといった活動をセットで提供することで、滞在時間の延長や満足度向上に繋がり、結果的に収益効率を高めます。実際に、農山漁村滞在型旅行を行った旅行者の大規模アンケート調査でも、農業体験、地元住民との交流、農家民泊・農家民宿を同一人物が体験する傾向が強く、これらを組み合わせたサービスの提供が効果的であると示唆されています。

    また、京都府京丹波町の事例では、京都市内や天橋立、舞鶴、丹波篠山などへ約30分でアクセス可能な立地を活かし、広域観光の拠点として利用される戦略も取られています。単に観光資源そのものとの距離が近いだけでなく、複数の観光地を結びつける戦略的な距離感が収益に貢献しているのです。

    過疎化・地域振興策が変える郊外民泊の可能性

    過疎化が進む郊外・農山漁村地域において、民泊は地域資源を掘り起こし、持続可能な発展を目指すための有効な手段となり得ます。

    郊外では、築100年を超える古民家が空き家問題として存在しますが、これらをリノベーションし民泊施設として活用することで、景観維持や資産価値の低下防止につながります。京都府綾部市の「Seventh Home」や福知山市の「ふるま家」のように、古民家の雰囲気を残しつつ水回りなどを改修し、快適な滞在空間を提供している成功事例があります[引用2]。

    また、郊外民泊は、都市からの観光客や移住希望者に対し、農山漁村の生活や自然を体験する機会を提供し、一時的な訪問者だけでなく、地域と継続的に関わる関係人口の増加につながります。旅行後も地域産品の取り寄せやふるさと納税を行う割合が高い層がいることが確認されており、交流が継続する基盤となり得ます

    京都市は、農林漁業体験を通じた地域活性化と副収入確保を目的として、平成27年3月から政令指定都市で初めて農家民宿開業に対する規制緩和の運用を開始しました[引用3]。これにより、北区の雲ケ畑や左京区の久多といった山間部で、林業体験や蕎麦打ち、藁細工などの体験を提供する農家民宿の開業が推進されています。

    郊外民泊が持続的なビジネスとして成立するためには、地域ぐるみの運営が鍵となります。長崎県西海市雪浦地区の例では、古民家農泊施設が宿泊業だけでなく、地域住民も利用できるコミュニティ拠点としての役割も担うことで、地域外客に過度に依存しない多面的な効果を発揮しています[引用4]。

    このように、京都の郊外民泊の可能性は、単なる宿泊提供から、地域経済、文化、福祉、そして空き家対策といった複合的な地域運営ツールへと進化しつつあり、市街地とは異なる次元での価値創出を目指しているのです


     [引用1]https://www.uminokyoto.jp/feature/detail.php?spid=22

     [引用2]https://www.uminokyoto.jp/feature/detail.php?spid=22

     [引用3]https://www.city.kyoto.lg.jp/sankan/page/0000212881.html

     [引用4]https://www.maff.go.jp/primaff/kanko/project/attach/pdf/220301_R04ict2.pdf















































    京都の宿泊市場は、市街地の高収益エリアだけで語れない時代に入りました。郊外民泊は「不便さ」を弱点ではなく価値へ転換し、古民家再生や体験型観光を通じて独自の収益モデルを築きつつあります。過疎化対策や地域振興にも直結する新しいビジネスとして、いまその可能性が急速に広がっています。

    市街地と郊外でアクセスが収益に及ぼす影響

    京都市街地の中心部、特に中京区の四条・烏丸・河原町・御所周辺、下京区の京都駅・四条烏丸、東山区の祇園・清水といったエリアは、主要な交通拠点や観光資源が密集しています。そのため、国内外からの旅行者にとって利便性が極めて高く、高い稼働率と安定した収益が見込めます。一方、京都市の農山村地域に位置する農家民宿は、北区・左京区・右京区京北などに点在しており、その立地の特性上、市街地に比べて交通インフラや通信環境の面で不便さが伴うことが課題となります。しかし、新型コロナウイルス感染拡大下においては、この関係に変化が見られました。都市部の宿泊施設が三密を避けにくい状況にあったのに対し、郊外や農山漁村地域の古民家などを活用した一棟貸しの施設は、他者との接触機会を大幅に減らせるため、比較的安全な宿泊先として注目を集めたのです。Go To トラベル事業のような支援策が適用された際、比較的高額な宿泊料金となる一棟貸し施設に人気が集まった可能性も指摘されています。これは、郊外民泊が危機的な状況下で安全性を付加価値として収益に結びつけた例と言えます。

    宿泊需要のピークと閑散期で見えるエリア収益の違い

    収益構造は、エリアの主なターゲット層と需要の変動期によって大きく異なります。市街地中心部の宿泊施設は、インバウンドや個人観光客の年間を通じた安定的な需要に支えられていました。一方、郊外や農村地域の農泊施設で以前から中心的だった教育体験旅行型農泊は、春先の4月から5月に需要が集中する傾向があり、感染症拡大のような外的ショックに対してビジネスモデルとしての脆弱性が露呈しました。2020年の緊急事態宣言時には、教育体験旅行の集中期と重なったため、メインターゲットの変更が困難な地域では農泊がほぼ中止状態となりました。また、新型コロナ感染拡大のショックは、農泊の宿泊者数減少率が一般的な宿泊者数よりもやや大きく下押しする傾向が見られました。これは、農家民宿の多くが経営主の母屋に宿泊し交流をメインとするため三密を避けにくかった点や、宿泊客が感染者数の少ない農山漁村地域への感染拡大を懸念して訪問を自粛した意識が強く働いた可能性が考えられます。この課題に対し、郊外の農泊地域では、個人旅行客の取り込みやマイクロツーリズムへのシフトが見られ、長崎県西海市の事例のように、ワーケーションなどの新たな需要創出に取り組む動きも出ています。

    観光資源との距離がもたらす収益効率の差

    市街地の中京区や東山区などでは、歴史的建造物や商業施設が相互に連携し、高い収益効率を生み出しています。これに対し、郊外の農泊施設は、収益効率を最大化するために立地の不便さを補って余りある固有の地域資源を活用することが不可欠です。京都府の農家民宿エリアである中[耕山1] 丹地域の綾部市・福知山市・舞鶴市では、築100年の古民家などの伝統的な日本家屋の美しさと、オーナー家族との温かい交流が観光資源となっています。また、農業体験、そば打ち体験、薪割り体験、星空鑑賞など、その地域でしか得られない多様な体験コンテンツが提供されています。これらの体験は、都市住民が関心を持つ傾向にある農業体験や調理体験、工芸品作りといった活動をセットで提供することで、滞在時間の延長や満足度向上に繋がり、結果的に収益効率を高めます。実際に、農山漁村滞在型旅行を行った旅行者の大規模アンケート調査でも、農業体験、地元住民との交流、農家民泊・農家民宿を同一人物が体験する傾向が強く、これらを組み合わせたサービスの提供が効果的であると示唆されています。また、京都府京丹波町の事例では、京都市内や天橋立、舞鶴、丹波篠山などへ約30分でアクセス可能な立地を活かし、広域観光の拠点として利用される戦略も取られています。単に観光資源そのものとの距離が近いだけでなく、複数の観光地を結びつける戦略的な距離感が収益に貢献しているのです。

    過疎化・地域振興策が変える郊外民泊の可能性

    過疎化が進む郊外・農山漁村地域において、民泊は地域資源を掘り起こし、持続可能な発展を目指すための有効な手段となり得ます。郊外では、築100年を超える古民家が空き家問題として存在しますが、これらをリノベーションし民泊施設として活用することで、景観維持や資産価値の低下防止につながります。京都府綾部市の「Seventh Home」や福知山市の[耕山2] 「ふるま家」のように、古民家の雰囲気を残しつつ水回りなどを改修し、快適な滞在空間を提供している成功事例があります。また、郊外民泊は、都市からの観光客や移住希望者に対し、農山漁村の生活や自然を体験する機会を提供し、一時的な訪問者だけでなく、地域と継続的に関わる関係人口の増加につながります。旅行後も地域産品の取り寄せやふるさと納税を行う割合が高い層がいることが確認されており、交流が継続する基盤となり得ます。京都市は、農林漁業体験を通じた地域活性化と副収入確保を目的として、平成273[耕山3] から政令指定都市で初めて農家民宿開業に対する規制緩和の運用を開始しました。これにより、北区の雲ケ畑や左京区の久多といった山間部で、林業体験や蕎麦打ち、藁細工などの体験を提供する農家民宿の開業が推進されています。郊外民泊が持続的なビジネスとして成立するためには、地域ぐるみの運営が鍵となります。長崎県西海市雪浦地区[耕山4] の例では、古民家農泊施設が宿泊業だけでなく、地域住民も利用できるコミュニティ拠点としての役割も担うことで、地域外客に過度に依存しない多面的な効果を発揮しています。このように、京都の郊外民泊の可能性は、単なる宿泊提供から、地域経済、文化、福祉、そして空き家対策といった複合的な地域運営ツールへと進化しつつあり、市街地とは異なる次元での価値創出を目指しているのです。














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    日中関係は、高市早苗首相による台湾有事に関する国会答弁をきっかけに、急速に緊迫感を増しています。中国政府はこれに強く反発し、自国民に対して日本への渡航を控えるよう呼びかける異例の事態となりました。この渡航自粛要請は、日本のインバウンド市場と中国関連銘柄に深刻な影響を及ぼしています。

    政府の訪日外国人統計によると[※引用1] 、2025年1月から9月までの中国からの訪日客数は前年比42.7%増の748万7200人となり、国・地域別でトップを占めていました。インバウンド市場全体の伸びを牽引していただけに、中国政府による自粛要請は日本の観光関連企業にとって大きな逆風となっています。

    株式市場に広がる売り圧力

    日中関係の悪化懸念は、関連銘柄の株価に即座に反映されました。インバウンド期待で買われていた内需銘柄だけでなく、売り圧力は中国関連株全般に広がっています。

    11月17日のインバウンド関連銘柄では、三越伊勢丹ホールディングスや高島屋などの百貨店株が5~11%超下落しました。また、ANAホールディングスなどの空運株、西武ホールディングスなどの鉄道株も大きく売り込まれています。

    中国での売上比率が高い企業も打撃を受けています。良品計画は10%超安となり、ファーストリテイリング、資生堂、ユニ・チャームも3~9%超安となりました。中国国内への出店を積極化している外食産業では、回転すしチェーン「スシロー」を展開するFOOD & LIFE COMPANIESが14%安、サイゼリヤも6%超安に沈みました。

    さらに、知的財産関連にも影響が及んでいます。サンリオのハローキティやソニーグループのアニメ「鬼滅の刃」は中国で高い人気を誇りますが、今後上映の打ち切りなどのダメージを受ける懸念が指摘されています。

    松井証券は、日中双方の主張がかみ合っておらず、関係悪化の長期化懸念から、売りがインバウンドから中国関連銘柄全般に広がっていると分析しています。

    現場の実態とキャンセル料の問題

    渡航自粛要請が発令された時点では、極端に中国の団体旅行客にフォーカスした宿でない限り、秋の集客に直ちに大きな影響は出ていない状況です。紅葉のピークまで1ヵ月を切ったタイミングで問題が起きたため、予約サイトによってはキャンセル料が発生してしまうことが要因として挙げられます。日中関係の悪化に伴って訪日意欲自体には一時的なブレーキがかかったにもかかわらず、既に予約済みの旅行をキャンセルする中国人が比較的少なかった背景にはいくつかの理由があります。まず、中国の旅行者には金銭的ロスを極力避ける傾向が非常に強く、無駄な支出やキャンセル料を嫌い、一度支払ったものを「捨てる」ことに抵抗があるという価値観が根付いています。また、日本旅行そのものが依然として高い価値を持つ消費であり、政治的な関係悪化があっても個人の日本観まで悪化するケースは少ないため、旅行の魅力が損なわれていないことも大きな要因です。さらに、中国国内では政府の意向もあって極端な反日感情が広がるような報道は抑制されており、航空便の運行やビザ条件に変化もなく、SNSでも日本旅行の話題が通常通り扱われているため、旅行を中止すべきという認識が広まっていません。そして決定的なのは、中国人旅行者がきわめて合理的な判断をする傾向が強い点で、実害がなければ予定通り行き、返金不可なら行き、周囲に危険情報がなければ行く、という行動様式が働いていることです。こうした複合的な理由により、関係悪化による心理的なブレーキがかかったとしても、実際に予約済み旅行をキャンセルするという行動にはつながりにくかったのだと考えています。

    一方で、現在の状況が完全に収束するまでは、一定の影響が続くことも確かです。特に中国の旅行者はリスクに対して非常に敏感であり、状況次第では判断を大きく変える傾向があります。たとえば、中国の航空会社のように無料でキャンセルできる条件であれば、情勢が不安定なときには迷わず取り消しを選ぶ可能性があります。しかし、日本の航空会社のチケットや宿泊施設のようにキャンセル料が発生する場合は、損失を避けるために旅行を強行するケースもありますが、今後の情勢によっては「キャンセル料を払ってでも取りやめる」という判断に切り替わるリスクもあります。つまり、金銭的ロスを嫌う一方で、不確実性に対しては強い警戒心をもつという旅行者心理が、今後の動向に影響を与え続けると考えています。

    東京や京都の観光地では、要請を知りながらも来日した中国人カップルが「治安が良いので特に気にしなかった」と話すなど、政治と観光を分けて考える観光客も存在します。築地場外市場の飲食店経営者も、中国人が減ったという感じはないと述べています。

    しかし、問題が長期化すれば深刻な影響は免れません。特に、来年2月中旬に始まる春節への不安が観光地では広く聞かれます。年末のツアー予約は通常であれば全て埋まる時期ですが、要請を受けてすでに12月からのキャンセル連絡が殺到している実態があります。

    関西地方が直面する深刻なダメージ

    インバウンドの回復が期待されていた関西地方は、特に深刻な影響が懸念されています。りそな総合研究所によると、関西でのインバウンド消費のうち、中国人が占める割合は35%前後と非常に高い水準にあります。今年のインバウンド消費は約2兆円と推計されており、そのうち大きな部分を中国人観光客が占めています。

    大阪では、2025年1月から9月までの推計で、中国から約426万人の観光客を受け入れており[引用2]、これは2024年の同じ時期と比べ1.5倍に上る見込みでした。大阪・関西万博が閉幕し、需要減が懸念されるタイミングでこの問題が長期化すれば、他地域以上に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

    大阪市内の旅行代理店では、17日以降、ツア ーの予約取消し連絡が殺到し[※引用3]、わずか3日間で400団体、予約の半分ほどがキャンセルになりました。今回特有の問題として、キャンセル料の負担が旅行会社にのしかかっています。理由が政府による渡航自粛要請であるため、顧客からキャンセル料をもらうことが難しく、バスやホテル、レストランへのキャンセル料金を旅行代理店が支払わなければならない状況にあります。また、中国の大手航空会社3社が年内の日本便のキャンセルを無料にしていることも、大量キャンセルの要因の一つとなっています。

    インバウンドで急増した民泊への影響も深刻です。大阪市の繁華街・難波で民泊を経営する中国人経営者は、17日朝から「渡航を控えるよう国から指示があった」という内容のキャンセルを既に2件受けました。また、大阪・西成区の民泊経営者は、利用客の約6割が中国人であり、先週から約500部屋のキャンセルが発生し、収益 約1,000万円の減少につながると試算しています[引用4]。

    大阪の飲食店経営者にとっても、2月は閑散期にあたり、春節の訪日客の存在は貴重であるため、「政治的な感情は抜きにして、消費が冷え込む阻害要因は困るというのが本音だ」と危機感を募らせています。

    エンターテイメントと文化交流への波及

    影響は経済活動に留まりません。上海で予定されていた吉本興業による公演が中止になったほか、人気アニメ「クレヨンしんちゃん」の映画の公開延期も決定するなど、エンターテイメントの分野にも影響が出ています。

    また、相模原市と江蘇省無錫市の友好都市締結40周年行事では、無錫市の学校の生徒がダンスを披露する予定でしたが、訪日が取りやめになったという事態も発生しました。

    マクロ経済への影響と地域差

    ソニーフィナンシャルグループは、最近のインバウンド消費動向として、「団体から個人、モノ消費からコト消費へのシフト、国別構成比の変化など、数年前のような中国人頼みの状況からは変わっている」と指摘しています。このため、中国人観光客の減少によるマクロ経済への影響は限定的となりそうとの見方も示されています。

    しかしながら、外国人観光客に依存し、かつ中国人比率の高いサービス業や地域によっては、影響に濃淡が出る点については留意すべきだと警告されています。特に関西地方のように中国人観光客の比率が高い地域では、深刻な影響が予想されます。

    日中関係悪化が長期化すれば、広範囲の産業、特に来たるべき春節期の集客に依存する観光・サービス業は、深刻な経営ダメージを受けることが予想されます。これは、個人客へのシフトや消費の変化が進んでいるとはいえ、地域経済の回復にとって大きな試練となるでしょう。


     [引用1]https://news.yahoo.co.jp/articles/4e90e30991c886ba0e3b3cf70122fb265e78e2d3

     [引用2]https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E3%81%93%E3%82%93%E3%81%AA%E3%81%93%E3%81%A8%E5%88%9D%E3%82%81%E3%81%A6-%E6%B0%91%E6%B3%8A%E3%81%AB%E3%81%AF%E6%97%A2%E3%81%AB%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%AB%E3%82%82-%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%AE%E6%B8%A1%E8%88%AA%E8%87%AA%E7%B2%9B%E3%81%A7/ar-AA1QzDzh?cvid=691bcb85cf8d4f73b1e0f44afa90b32a&ocid=hpmsn

    [引用3]https://news.yahoo.co.jp/articles/2a59cffaab9b29f8ca153355a0a00125d0222028?page=2

    [引用4]https://news.yahoo.co.jp/articles/2a59cffaab9b29f8ca153355a0a00125d0222028?page=2

  • プラン提案
    スタッフブログ

    相続した家をどうするか――。売却して現金化するか、それとも賃貸に出して家賃収入を得るか。多くの方がこの二択で悩みます。しかし、実はもう一つの選択肢があります。それが「民泊」という新しい活用方法です。観光需要の高まりとともに、使われていない家が“人を迎える場所”へと生まれ変わる時代。思い出の詰まった家を手放さず、収益にもつなげられる民泊運営は、相続後の新しいライフプランとして注目されています。

    今回は、長期賃貸運用と民泊運用を税引後の実収益ベースで比較し、それぞれのメリット・デメリットをわかりやすく解説します。

    想定条件(モデルケース)

    項目内容
    物件木造一戸建て(延床100㎡・築25年)
    相続時評価額土地2,000万円+建物500万円
    立地京都市中心部に近い住宅地
    運営方式①長期賃貸(居住用) vs ②民泊(簡易宿所または届出住宅)
    青色申告あり(個人事業主として申告)

    年間収支比較(税引後シミュレーション)

    項目① 長期賃貸② 民泊運用(Airbnb型)
    稼働率100%65%(約240日稼働)
    賃料・単価月18万円平均2万円/泊
    年間売上216万円約480万円
    運営経費△40万円△180万円(清掃・光熱費など)
    管理費・手数料△10万円△30万円(OTA手数料含む)
    固定資産税・保険△20万円△20万円
    減価償却費△15万円△15万円
    営業利益(青色前)131万円235万円
    青色申告控除△65万円△65万円
    課税所得66万円170万円
    所得税+住民税(30%)△20万円△51万円
    税引後手取り利益約111万円/年約184万円/年

    民泊は税引後でも賃貸の約1.7倍の手取りが期待できます。
    (※モデルケースをベースにした一例)
    宿泊単価の通り、この事例は高単価で運用するタイプではありません。リフォームプランを組み込むことによって、より単価の高い民泊を作ることも可能です。上記モデルは低価格~中価格帯の間ほどのイメージです。立ち上げる民泊の質を高めることによって、一般的な家賃の相場の5倍以上というケースもあり、2倍、3倍程度は珍しいことではありません。


    メリット・デメリット比較

    観点長期賃貸民泊
    税制優遇青色控除・貸家評価あり経費範囲広いが消費税課税あり
    安定性高い(固定家賃)変動大(稼働・季節依存)
    管理負担低い(委託可)高い(清掃・顧客対応)
    法規制緩い民泊新法・旅館業法・消防対応必要
    相続税評価貸家評価で減額可旅館業用途は対象外のことも
    金融評価安定資産として強い事業リスク高く審査厳しめ

    今回の事例では、一戸建てを想定しています。月額18万円という設定からも、ある程度の広さがあり、交通の便も比較的良い立地を想定しています。法規制については、管理会社や行政書士などの専門家が対応するため、旅館業としての基本的な条件を満たしていれば大きな障壁にはならないでしょう。安定性の面では、災害や景気の影響を受けやすい民泊よりも賃貸の方が優位といえますが、家賃が固定されているとはいえ、空室リスクがまったくないわけではありません。


    税務上の違い

    税目長期賃貸民泊
    所得区分不動産所得事業所得または雑所得
    消費税非課税売上1,000万円超で課税事業者
    相続税評価貸家評価で減額減額対象外になる場合あり
    経費範囲修繕・保険など清掃・光熱・OTA手数料など広範

    総合評価

    タイプ向いている人
    🏡 長期賃貸型安定収入・手間をかけたくない人/相続税対策を重視する人
    🏨 民泊運用型観光地立地で稼働率が高い人/収益最大化を狙う人

    まとめ

    観点賃貸民泊
    税引後収益約111万円約184万円
    利回り(評価額2,500万円)約4.4%約7.4%
    運営負担
    リスク小~中中~大

    ・短期的な利益重視 → 民泊
    稼働率65〜70%以上を維持できれば、手取りは賃貸の1.5〜2倍。これはあくまでもサンプルモデルをベースにした一例です。一定の売り上げ規模になってくると消費税課税もあります。大きな災害等による影響は大きいが、その時は賃貸への転用も可能である。

    ・長期的な安定運用・節税重視 → 賃貸
    貸家評価による相続税圧縮や管理負担の少なさが魅力。将来の相続にも有利に働くケースが多い。民泊と比較するとリスクは少ない印象ではあるが、賃貸運営にも家賃滞納、入居者トラブル、原状回復などのトラブルはつきもの。