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京都駅前地下街「ポルタ」の東エリアがリニューアルオープン

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ポルタ 東エリア オープン

京都駅前地下街「ポルタ」(京都市下京区)の東エリアがリニューアルオープンしました。

現地を訪問したのが祝日であったこともあり、かなり多くの人で混雑していました。国内外の方に人気のラーメン店、一風堂さんの前には順番を待つ客で列も出来ていました。その隣にある回転ずし屋さんも満席のようでした。海外の方も多く行き交う場所でもあり、そのあたりも出店する店舗の選定基準になったのかもしれないなと思いながら見ていました。

通路が広く確保されている印象で開放的で清潔感のある印象。今回現地を訪問した一番の理由は、この東エリアの内装デザインを見てみたかった為。壁や柱などの内装には、古都京都の町並みを彷彿させる格子や番傘のデザインが取り入れられています。写真はJR西日本さんからの出典ですが、ご覧の通り、ショッピングモールという場所に合うようにうまくバランスをとって和の雰囲気を取り入れている点が素敵だなと思いました。次の町家のリフォーム工事に取り入れられないか検討中です。

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  • インバウンド

    2025年の訪日外国人客数が史上初めて4,000万人を突破し、消費額も過去最高の約9兆5,000億円を記録しました。しかし、この華々しい数字の裏側で、古都・京都をはじめとする観光地は深刻な「オーバーツーリズム」と「二重価格」導入の議論に揺れています。4,000万人時代の実態と、京都で起きている変化、そして専門家が指摘する日本の観光産業の未来について解説します。

    史上初の4,000万人突破がもたらした光と影

    2026年1月、日本政府は歴史的な数値を発表しました。2025年の訪日外国人客数が推計で約4,270万人に達し、史上初めて年間4,000万人を突破したのです[引用1]。消費額も約9兆5,000億円と過去最高を記録し、日本経済における外貨獲得の柱として、自動車輸出に次ぐ規模へ成長しています

    この記録的な増加を牽引したのは、記録的な円安と日本の観光地としての根強い人気です。コロナ禍前の2019年水準(約3,188万人)を大きく上回り、特に欧米やオーストラリアからの旅行者が大幅に増加しました。滞在日数が長く、多くの地域を周遊する傾向がある層の拡大が、消費額の押し上げに寄与しています。

    一方で、かつて最大市場だった中国からの客足には急ブレーキがかかりました。2025年12月の中国からの訪日客数は前年同月比で約45%も減少しています[引用2]。これは、高市早苗首相の発言に端を発した日中関係の悪化や、中国政府による渡航自粛要請が影響したと見られます。それでも全体数が過去最高を記録した事実は、日本のインバウンド市場が「中国頼み」から脱却し、多角的な構造へ転換したことを示しています。

    京都で進む「日本人離れ」と混雑の深刻化

    この国家的ブームの最前線に立つ京都市では、影響が極めてシビアな形で現れています。清水坂や嵐山といった主要観光地は外国人旅行者で溢れかえり、市民生活への影響が限界に達しつつあります。

    京都市観光協会のデータによると、2025年11月の京都市内主要ホテルの外国人延べ宿泊者数は前年同月比8.5%増と好調を維持していますが、対照的に日本人の延べ宿泊者数は15.3%も減少しました[引用3]。これは、インバウンド需要による宿泊費の高騰や混雑を敬遠し、日本国内の旅行者が京都を避けている現状を示しています。

    「二重価格」導入の現実味

    円安による割安感を享受する外国人観光客と、物価高に苦しむ日本人や地域住民。この経済格差を是正し、オーバーツーリズム対策の財源を確保する手段として、京都では「二重価格」の導入が現実味を帯びています。

    京都市内のある老舗旅館では、すでに事実上の二重価格を導入しています。訪日客向けの予約仲介サイト経由の料金を、国内向けサイトより最大1.5倍高く設定しているのです。旅館側は「外国語対応などのコストが発生している」ことを理由に挙げています。

    飲食店でも、海鮮や和牛などの高級食材を用いた高単価メニューを「インバウンド向け」として外国語でPRする動きが加速しています。牛丼チェーン「松屋」ですら、観光地店舗では高単価メニューを券売機で「インバウンド向けお勧め」と案内しています。

    この動きは民間にとどまりません。京都市は市バスにおいて、市民と観光客の運賃を分ける「市民優先価格」の2027年度内実現を目指しているほか、二条城の入城料体系の見直しも模索中です。さらには、政府レベルでも国立美術館・博物館での二重価格導入が検討されています。

    米国からの旅行者が「日本はホテルも食事も何でも安い。地元客と多少の料金差があっても気にしない」と語るように、外国人旅行者側の抵抗感は意外に少ないという見方もあります。しかし、観光業界内には「国籍だけを理由に区別するのは差別と受け取られかねない」という慎重論も根強く残っています。

    「数」から「質」への転換が急務

    4,000万人という数字は、政府が掲げる「2030年に6,000万人」という目標に向けた通過点に過ぎません。しかし、専門家からは現在の延長線上での拡大に強い懸念が示されています。

    現在の観光のあり方は、かつての高度経済成長期における公害問題に近づきつつあります。観光客の急増により、コンビニのトイレ利用マナーの悪化やゴミのポイ捨てなどが目立ち、地域住民の生活負担は確実に増しています。現行インフラでは受け入れ人数に限界があり、数を追い続ければ、良識あるリピーターが離れ、質の低い観光客ばかりが集まる状況になりかねません。結果として、日本の観光地としての価値そのものが損なわれるリスクがあります。

    一方で、日本の観光政策には経営的な視点が不足しているとの指摘もあります。重要なのは客数の多さではなく、一人当たりの消費額を高め、地域経済に持続的な恩恵をもたらすことです。人数を抑えつつ消費の質を高める戦略へと転換しなければ、観光は成長産業ではなく重荷になってしまうでしょう。

    JTBの予測では、2026年の訪日客数は中国・香港市場の減速を織り込み、2025年比で2.8%減の約4,140万人になると見込まれています[引用4] 。右肩上がりの成長が一旦落ち着くこのタイミングこそ、日本が「観光立国」としてのあり方を再考する好機かもしれません。

    「二重価格」は単なる値上げではなく、特別なガイドや体験といった付加価値とセットで納得感を得る形での導入が求められます。また、特定の観光地に集中する「オーバーコンセントレーション(過剰集中)」を解消し、地方へ誘客するための戦略的な「観光地経営」が不可欠です。

    4,000万人突破は確かに祝うべきマイルストーンです。しかし、それは同時に、京都をはじめとする地域社会が「住んでよし、訪れてよし」のバランスを維持できるかの瀬戸際に立たされていることを示しています。地域住民の日常生活が観光客によって脅かされるような状況が続けば、観光地としての持続可能性は失われてしまいます。

    2030年に向けて、数合わせの誘致ではなく、地域住民の生活を守りながら稼ぐ力を高める持続可能なモデルへの転換が急務となっています。観光客の「量」ではなく「質」を重視し、地域社会と調和した観光産業の実現こそが、真の意味での「観光立国」への道となるでしょう。


    [引用1]https://news.yahoo.co.jp/articles/10576e93bcb5ca97dcb81e34714e2ccbb68ae2d3

     [引用2]https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2026-01-20/T954FKT9NJLS00

     [引用3]https://www.travelvoice.jp/20260121-159028

     [引用4]https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1940O0Z10C26A1000000/

  • 新年
    インバウンド
    新年

    2026年の日本のインバウンド市場は、訪日外客数が数年ぶりに減少に転じる「踊り場」の時期を迎える一方で、消費額の増大と持続可能な観光への質的転換を目指す重要なターニングポイントになると予測されています。本記事では、政府の過去最大の予算編成、市場を揺るがす中国リスク、そして人手不足や供給制約といった構造的課題を軸に、2026年のインバウンド需要の見通しを詳説します。

    訪日客数予測:5年ぶりの減少と「踊り場」の到来

    JTBの予測によると、2026年の訪日外国人客数は前年比2.8%〜3%減の4,140万人となる見通しです[引用1]。2025年が過去最高の4,260万人に達すると推計されている反面、2026年は新型コロナウイルス禍の影響を除けば、2011年以来15年ぶりに減少に転じる見込みとなっています。

    この減少の最大の要因は、訪日客の約2割から3割を占める中国および香港市場の停滞です。日中関係の悪化を受け、中国政府が日本への渡航自粛を呼びかけたことで、団体旅行を中心に急ブレーキがかかっています。

    一方で、欧米豪からの訪日客は引き続き増加傾向にあります。これらの地域の旅行者は滞在期間が長く、1人当たりの消費額も多いため、客数が減少しても訪日外国人全体の消費額は前年比0.6%増の9兆6,400億円と、微増ながら過去最高を更新するとの予測も出ています[引用2]。

    「中国リスク」の顕在化と観光現場への打撃

    2026年の需要を占う上で避けて通れないのが、政治的背景による中国市場の冷え込みです。2025年11月、当時の首相による台湾情勢に関する発言を巡り、中国政府は日本への渡航自粛を公告しました。この影響は甚大で、日本行き航空券のキャンセルは一時54万件を超え、航空便の減便や運休が相次いでいます。

    特に中国との結びつきが強い関西圏や、冬の観光地として人気の高い東北・北海道では深刻な影響が出ています。大阪の観光バス予約が激減し、「コロナ禍並み」の落ち込みを見せる事業者も現れています。百貨店の免税売上高が前年割れとなり、特に中国人客の売上が4割近く減少するケースも報告されています。また、京都市内では、中国客のキャンセルにより宿泊料金が大幅に下落し、1泊1万円未満のホテルが続出する事態となっています。

    過去、2012年の尖閣諸島問題の際にも中国からの旅行者は約25%減少し、その影響は約1年続きました[引用3]。今回の対立が長期化すれば、日本経済への損失は1.2兆円から1.7兆円規模に達するとの試算もあります。

    供給サイドの制約 人手不足とインフラの限界

    空港

    客数の伸び悩みには、需要側だけでなく供給側のボトルネックも影響しています。

    第一に深刻な人手不足です。空港の旅客係員数はコロナ前を依然として下回っており、これが国際線の増便を阻む要因となっています。ホテル業界でも、客室稼働率が安定運営の上限とされる85%に近づいており、「供給力が天井に接近している」との指摘があります。

    さらに、建設資材の高騰や人手不足により、ホテルの開発計画が白紙になったり、建て替え工事が遅延したりする事例も目立っています。世界旅行ツーリズム協議会は、2035年の観光従事者数は必要水準を29%下回ると予測しており、政府が掲げる「2030年に訪日客6,000万人」という目標の達成には、この供給制約の解消が急務となっています[引用4]。

    過去最大の観光庁予算~1,383億円で挑む構造改革

    こうした課題に対応するため、政府は2026年度の観光庁予算案として、前年度比2.4倍となる過去最大の1,383億4,500万円を計上しました[引用5]。この大幅増額を支える財源は、国際観光旅客税(出国税)の1,000円から3,000円への引き上げです。

    予算の柱は3点に集約されます。第一に、オーバーツーリズム対策と住民生活の確保(317億円)です。「観光客は増えたが、地域は良くなったのか」という問いに対し、住民生活との調和を図る施策に重点が置かれています。前年度比8.34倍の100億円をオーバーツーリズム対策に計上し、混雑状況の可視化、予約システムの導入、パーク&ライドの整備などを面的に支援します。また、待ち時間短縮のため、入管と税関の手続き情報を同時に取得する「共同キオスク」の導入や生体認証の強化に約198億円が投じられます。

    第二に、地方誘客の推進による需要分散(749億円)です。予算の半分以上が、東京・大阪・京都といった「ゴールデンルート」への集中を是正するために充てられます。地方空港の機能強化(28.83億円)や、ローカル鉄道を観光資源として活用する新規事業(46億円)などが盛り込まれました。さらに、国立公園の環境整備(178億円)や文化財の公開(223億円)を促進し、滞在長期化と消費拡大を狙います。

    第三に、観光産業の活性化と双方向交流(68億円)です。インバウンド偏重を是正し、日本人の海外旅行も支援する「双方向交流」の予算が25倍の5億円に増額されました。また、「日米交流の強化」(3億円)や、大阪・関西万博の成果を関西全域に広げる「万博レガシー活用」(2.5億円)などの新規事業が始動します。

    「質」への転換とエビデンスに基づく観光経営

    2026年のインバウンド戦略において注目すべきは、単なる客数の積み上げではなく、「消費単価の向上」と「データの活用」へのシフトです。

    最新のデータによれば、インバウンドの1人当たり消費額(約22万円)は、日本人の国内旅行(約4.6万円)の約4.7倍に達します[引用6]。特に京都などの主要観光地では、インバウンドがもたらす経済効果が地域の維持に不可欠となっています。一部で叫ばれる「インバウンド悪玉論」に対し、専門家はインバウンドをゼロにして日本人客でその経済損失を補おうとすれば、かえって休日の混雑(オーバーツーリズム)が深刻化すると指摘しています。

    そのため、2026年度予算では「地域の観光振興の効果測定」に新たに1.14億円が計上されました。ビッグデータを活用して施策の有効性を定量的に検証し、効率的な誘客と地域経済への波及を目指す「エビデンスに基づく観光施策」が本格化します。

    持続可能な観光大国への正念場

    2026年のインバウンド需要は、中国市場の不透明感や国内の供給制約により、量的な拡大にはブレーキがかかる見通しです。しかし、これは日本が「数」を追うフェーズから、「地方分散」「高付加価値化」「住民生活との調和」という質的な成熟を遂げるための重要な準備期間とも言えます。

    3,000円への旅客税引き上げによる安定財源を、いかに実効性のあるオーバーツーリズム対策や地方インフラ整備に繋げられるか。そして、特定国に依存しない市場ポートフォリオの多角化を進められるか。2026年は、日本の観光立国としての真価が問われる1年になるでしょう。


    [引用1]https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC050S30V00C26A1000000/

    [引用2]https://www.yomiuri.co.jp/economy/20260109-GYT1T00288/

    [引用3]https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC050S30V00C26A1000000/

    [引用4]https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC050S30V00C26A1000000/

    [引用5]https://yamatogokoro.jp/column/kaisetsu/59024/

    [引用6]https://toyokeizai.net/articles/-/928363?page=4

  • 民泊
    Airbnb

    民泊は個人でも法人でも運営可能

    民泊ビジネスを始める際、多くの方が「個人事業主として始めるべきか、それとも法人を設立すべきか」という選択に迷います。Airbnbなどのプラットフォームの普及により、誰もが手軽に参入できるようになった一方で、税務や法務、リスク管理といった実務的な判断は非常に複雑です。

    まず大前提として、Airbnbなどを用いた民泊ビジネスは、個人事業主でも法人でも合法的に運営することが可能です。民泊を運営するための主な枠組みには、住宅宿泊事業法(民泊新法)[引用1]、旅館業法(簡易宿所など)、国家戦略特区法(特区民泊)の3つがあります。これらの制度において、運営主体が個人か法人かによって有利不利が生じるような制限はありません。

    個人事業主は、税務署に開業届を提出するだけで手軽に始められ、初期費用もかかりません。一方、法人は設立登記に20万円程度の費用や手間がかかりますが、社会的信用が高まり、事業拡大に適した土台を築くことができます。まずはこの「手軽さ」と「体制の堅牢さ」のトレードオフを理解することが出発点となります。

    「売上〇〇万円で法人化すべき」は本当か

    ネット上の情報では、「売上1,000万円を超えたら法人化」「利益500万円が分岐点」といった数字が独り歩きしていることがよくあります。しかし、これらはあくまで一つの目安にすぎません。

    実務上、法人化を検討する際の代表的な数字の目安は、利益が800万円を超えると所得税と法人税の税率が逆転し節税効果が明確に出始めるライン、売上1,000万円を超えると消費税の納税義務が発生する可能性があるため免税期間をリセットする目的で法人化が検討されるタイミングとされています。

    しかし、実際には数字以外の要素が判断に大きく影響します。たとえば、将来的に10物件まで増やしたいと考えているなら、利益が100万円の段階であっても、融資の引きやすさを考えて最初から法人化するメリットがあります。逆に、1物件を副業として細々と続けるつもりなら、利益が800万円近くになっても、法人維持コスト(社会保険料や税理士費用)を考えると個人のままの方が手元に残るお金が多いケースもあります。

    税金構造の違いが大きな分岐点

    最も大きな分岐点となるのが税金構造の違いです。個人事業主に課される所得税は「累進課税」であり、所得が増えるほど税率が5%から最大45%まで段階的に上がります。民泊が好調で利益が跳ね上がると、税金の負担が急速に重くなるのが特徴です。

    対して法人は、利益の額に関わらず税率がほぼ一定です。中小法人の場合、年800万円以下は15%、超える部分は約23.2%となっています。

    さらに、法人化することで、個人では認められない項目を経費にできるようになります。役員報酬として自分に給料を支払うことで、法人側の利益を減らしつつ、個人側でも「給与所得控除」を受けられるため、所得を分散して節税できます。また、自宅の社宅化や出張日当なども経費化できる場合があります。

    ただし、法人は赤字でも法人住民税の均等割(約7万円)を毎年支払う義務がある点や、会計処理が複雑で税理士への顧問料が必要になる点など、維持コストも増加することを忘れてはなりません。

    物件の持ち方と将来の展開が重要

    次に重要なのが、どのように物件を持ち、今後どう展開するかという視点です。

    1棟・1施設で拡大予定がない場合は、個人事業主の方が機動的です。自宅の一部を貸し出すような小規模な民泊や、特定の1物件だけを運営する場合、法人化に伴う社会保険への加入義務を考えると、小規模運営では個人のメリットが勝ることが多いでしょう。

    一方、今後物件を増やす予定がある場合、物件を増やす前提かどうかは法人化を判断する決定的なポイントです。物件を増やすには金融機関からの融資が不可欠ですが、銀行などの金融機関は個人よりも法人の方が、事業計画の継続性や資産の透明性を高く評価する傾向があります。法人名義で不動産を所有・賃貸することで、個人の信用力に依存しすぎない事業展開が可能になります。

    リスク管理と責任の切り分け

    民泊には、宿泊業特有のリスクが常に付きまといます。近隣住民とのトラブル、室内での事故、不慮の火災、ゲストによる損害賠償問題などです。このとき、誰が責任を負うかという点が法人化の隠れた大きなメリットとなります。

    個人事業主の場合は無限責任であり、事業上の負債や損害賠償の責任は、すべて運営者個人が負います。最悪の場合、個人の私有財産(自宅や預貯金)を投げ打ってでも賠償しなければなりません。たとえば、ゲストが室内で怪我をして高額な治療費を請求された場合や、火災が発生して近隣に被害が及んだ場合など、予期せぬ事態が起きた際の責任は、すべて個人に降りかかってきます。

    一方、法人の場合は有限責任であり、法人は個人とは別の人格(法人格)として扱われます。原則として、事業上の責任は法人の資産の範囲内に限定されます(※個人保証をしている場合を除く)。つまり、万が一民泊事業で大きな損害が発生したとしても、個人の生活基盤となる資産を直接差し押さえられるリスクを軽減できるのです。

    実情として、節税よりもリスク分離を目的に法人化を選ぶオーナーも少なくありません。特に、万が一のクレームや事故が起きた際、個人の生活や家族を守るための「防波堤」として法人を活用するという考え方です。複数の物件を運営する場合や、高額な賠償リスクが想定される物件を扱う場合には、このリスク管理の視点が法人化を決断する重要な要素となります。

    民泊を「副業」とするか「事業」とするか

    民泊の法人化は、単なる税金計算の問題ではなく、民泊をどう定義するかという宣言でもあります。

    まず試してみたい、副収入として小規模に続けたいのであれば、初期コストを抑え、廃業も簡単な個人事業主が最適です。開業届一枚で始められ、確定申告も比較的シンプルで、事業をやめる際の手続きも最小限で済みます。副業として民泊を運営する会社員の方や、自宅の空き部屋を活用したい方にとっては、個人事業主としてのスタートが現実的な選択肢となるでしょう。

    一方、継続的な事業として育てたい、融資を受けて規模を拡大したい、組織としてリスクに備えたいのであれば、コストを払ってでも法人を選択すべきです。法人化することで、金融機関からの信用を得やすくなり、事業計画に基づいた資金調達が可能になります。また、従業員を雇用して組織的に運営する場合や、将来的に事業を第三者に承継する可能性がある場合にも、法人という枠組みは大きなアドバンテージとなります。

    最初は個人で始めて、軌道に乗った段階で法人化(法人成り)するという選択肢も一般的です。その際、現在の許認可を新しい法人体制にスライドさせる手続きなども可能ですが、名義変更の手間は発生します。まずは小さく始めて、事業の手応えと将来の展望が見えてきた段階で法人化を検討するという段階的なアプローチも、リスクを抑えながら成長を目指す賢明な戦略と言えます。

    民泊運営は、大海原へ漕ぎ出す航海のようなものです。最初は小さな手漕ぎボート(個人事業主)で近海を探り、確かな手応えを感じたら、大きなエンジンを積んだ船(法人)に乗り換えて遠出をする。自分の進みたい距離と、耐えられる波の高さに合わせて、最適な「船」を選んでください。


     [引用1]https://biz.moneyforward.com/establish/basic/71878/